国立アリナーリ写真美術館はこの秋、日本大使館の後援にて日本人アーティスト伊東昭義の『Underwater Dreams』展を行う。それは、未知なる色彩や歴史深い海中の自然の美を探求した芸術作品。国立アリナーリ写真美術館で明らかになるのは、海中世界の目では見えない空間・時間を遡って、宇宙の多くの神秘に迫ることである。
手つかずの水中に色とりどりの生きものが生息し躍動する宇宙は、伊東昭義の創り出す深淵なる造形作品だ。美術家・彫刻家の日本人である伊東は、自然の美しさの “本質や秩序” を、写真というメディアを通して探求している。そんな東洋芸術文化が反映する伊東の代表作が美術館の企画展にて展示された。
48点の額装作品および大型ライトボックス作品、そこにある作品は、色鮮やかで感動的な世界であるばかりではなく、未知で、純粋であり、観る者を包み込み、地表から離れて深く沈んでゆく感覚を覚えさせられる。海の世界への伊東の情熱は《色彩と造形のきらめき》として表出される。
アリナーリ財団のディレクター・モニカ マッフィオーリ氏によると、伊東の作品には、沖縄をはじめ世界のサンゴ礁の、明るく輝き躍動する生命が納められている。
特に日本人の精神性からも、《伊東の芸術活動の美的感性と洗練された品格は切り離すことはできない。自然とその計り知れない価値、神が降りたかのよう神々しい作品は貴重な要素である》と語っている。
この、伊東の魔法のような魅了的な世界は、完璧なシンプルさにより生み出されていることを、私たちは忘れないでおきたい。スミソニアン協会のアジア太平洋アメリカプログラムのディレクター、フランクリン・オードー氏は次のような表現をしている。
《自然の美を発見したものには自然遺産の継承者として責任がある》…
本文は展覧会開催時の論評です。